第6章 恐怖の期末テスト。
日に日に夏らしくなっていく今日この頃。烏野高校の第二体育館では、バレー部の面々が暑さをものともせず、練習に励んでいた。
そして部活の終了後、顧問の武田先生が少し話があるので、と体育館の一ヶ所に集まるよう指示した。
「東京にある音駒高校、そして音駒高校が所属する関東の四校からなるグループの合宿に参加させてもらえることになりました!」
一瞬の静寂の後に、うおーっ!と雄叫びをあげる部員たち。もっとも、その中心になっているのは西谷先輩と田中先輩、翔ちゃんに影山くんの四名だが…
「先生、日取りはいつですか?」
「はい、7月の最後の週末です」
「「「「………え?」」」」
騒いでいた四人が嘘のように静かになった。それもそのハズ、その週末の土曜日には期末テストの補習があるのだ。
そして、その四人は成績が壊滅的で補習確定要員だったりする。
「ジーザス!」
「龍、気をしっかり持つんだ!」
「お前らうるさいぞ!」
騒ぐ2年生二人をスガさんが叱る。明日から三日間、テスト前ということで諸活動停止期間に入る。その三日間が勝負どころとなるだろう。
「お前ら、なんとかして補習を回避しろ」
烏養コーチが言うものの、どうしようもない四人は途方にくれるばかりだ。
『私と月島くんと山口くんは平気だよね』
「補習を受ける人の気が知れない」
『それは…うん、ごもっとも』
「アカリ!助けて!」
「「オナシャス!」」
がばっと頭を下げてきたのは翔ちゃんと影山くんだった。顔を上げた翔ちゃんは目をうるうるさせて、まるでチワワみたい。影山くんはそれは真剣な目で頼み込んできた。
『わ、わかったから…顔上げて?』
なんとかして二人が合宿に行けるようにしなくちゃ!
『とりあえず、放課後、うち来てね』
「「アス!」」
かくして、私たちは合宿に行くべく猛勉強を始めることになった。