第1章 プロローグ。
「ちなみに朱里何㎝だ?」
『中3に計ったときで163.5㎝だった』
「マジか、意外とあるな…」
『ふふふ、でしょ~?影山くんは?』
「俺は180.6㎝」
『おお、高い高い!』
私と影山くんは石になってる翔ちゃんをほったらかしに、身長の話をしていた。山口くんが心配そうに翔ちゃんを突っついてる。
『やっぱり身長は武器だよね、武器。背があるだけで他を圧倒できるって言うか…でも小さくたって技術や信頼関係でカバーできるしあんまり心配要らないよね、翔ちゃん?』
「お、おう…」
石化が解けた翔ちゃんだけど元気がなかった。ちょっと言い過ぎたかも。
よし、どうにかしよう。
『それに、翔ちゃんはこれからうんと伸びて全国に行くんでしょ?こんなことで挫けてて良いの?』
「…っ!?そう、そう!そうだ!!」
よしっ、成功だね、復活してる。
うおぉぉぉ!と叫ぶ翔ちゃんに見えないように私は小さくガッツポーズをした。それからしばらくの間は5人で雑談をしていた。
ふと、月島くんが思い出したように言った。
「そういえば朱里何時までここにい居るのさ、早く帰ったら?」
『え、帰んなきゃダメ?もうちょっとみんなと話していたいんだけどなぁ~…』
私がわざとらしく帰るのを渋ると、翔ちゃんは満面の笑みでニカッと笑ってきた。
「じゃあさじゃあさ、アカリマネージャーやってよ!」
その一言は私と翔ちゃん以外の3人を凍りつかせるには破壊力がありすぎた。