第1章 プロローグ。
『こっちに戻ってきたのは一昨日、今はおばさんの家にいる。何でかっていうと、一言じゃ言えないかな…でも、こっちに戻ってきたかったっていうのもあるかもね』
翔ちゃんを体の上からよけたあと、先程の質問に答えていた。"いつから"は簡単に答えられたけど、"何で"が意外と難しい。
「さっきのレシーブ、上手かったけどバレーやってたのか?…日向…さん?」
『あはは、影山くん朱里で良いよ。バレーは小4からやってて中学でもバレー部だったの。ポジションはミドルブロッカー…で翔ちゃんと影山くんは?』
「ミドルブロッカー!アカリ一緒だ!」
「俺はセッターです」
『そっか、だからトスが上手かったんだぁ』
さっきのパス練を見ていて思ったが、影山くんは真上に上げるトスが上手だった。もしやとは思ったが、本当にセッターだったんだ。
でも…
『翔ちゃんそのサイズでミドルブロッカーなんだ。リベロとかかと思った』
次の瞬間、翔ちゃんが石と化したのは言うまでもない。
「なっ、何でアカリは人が気にしてるところ刺してくるかな!」
『だって、見た感じ三人とも180㎝くらいはありそうだし、だいたい翔ちゃん私よりも小さいでしょ?』
うっ、と言葉に詰まる翔ちゃん。山口くんの提案で私と翔ちゃんが背中合わせに立つと…
「朱里の方が大きくねーか?」
影山くんの一言で翔ちゃんが石と化したのは言うまでもない。
今日の翔ちゃんは石化が激しい気がする。
………主に私のせいで。←