第1章 ~第一章~幸せな日常
――宣言式から数ヵ月後―…
今日も私はレオに勉強を教わっていた。
レオ「…で、ルベント王国は今は平和になっているんだけど……ちゃん、ユヅキちゃん」
「……すーっ…」
レオ「ユヅキちゃん、完全に寝てるね…」
そう言ってレオは苦笑いを浮かべながら、そっとユヅキの耳元へと唇をよせて囁いた。
レオ「……ユヅキちゃん、早く起きなきゃ食べちゃうよ…?」
「…っ!?レオっ!?」
思わず飛び起きると、後ずさる私を壁際まで追い詰めてレオは意地悪な笑みを浮かべた。
レオ「だって最近ユヅキちゃん疲れてそうだったから、ずっとおあずけだったしね」
「そんなこと…っ」
レオ「ふーん…じゃあ今すぐ食べてもいいんだ…?」
そう言うとレオは私の鎖骨へと口づけをした。
「やっ…レオっ!!」
私が恥ずかしさで目に涙を浮かべてそっとレオの胸をおすと、レオは私からすっと離れた。
「……レオ…?」
ほっとしたような、残念なような複雑な気持ちでレオを見つめるとレオは優しく目を細めて笑った。
レオ「…冗談だよ、疲れているユヅキちゃんに無理はさせられないからね。今日の勉強はここまでにするから、ユヅキちゃんは少し部屋で休みなよ」
そう言って私に背を向けて扉へ向かおうとしたレオだったが、何かを思い出したように戻ってきた。
そして私を抱き締めて耳元で優しく囁いた。
レオ「…でも本当にユヅキちゃんの寝顔見てると、可愛くて我慢できなくなるから…次、寝たら本当に食べちゃうから覚悟しててね?」
「…っ!!もうっ、レオっ…!!」
そう言って恥ずかしさで俯いた私の頭をポンポンと優しく撫でて、レオは執務室を出ていくのだった。