第13章 差し引きゼロ
ロ)「…ぷ、なんつー顔してんだよ」
目を細めて笑ったローは呆然としている私の頬を抓る。
段々と頬が赤くなるのを実感すると弱々しくローを叩く。
貴)「だ、だって、いきなり……!
その、き、キス……する、から…」
ロ)「は?昨日散々ねだってただろ。
何今更恥ずかしがってんだよ。」
貴)「そっ、そんなにねだってない!」
ロ)「そうか?
キスしてーってねだっt
言い終わる前にローの顔に枕をぶつける。
恥ずかしい。
多分顔は真っ赤だと思う。認める。
でもローに当たった枕が重力に従って落ちて、ローの顔を見た時。
やってしまった、と後悔した。
蛇に睨まれた蛙とはこのことをいうのではないだろうか。
でも、悪いのはロー…だよね、うん。
何も言えずに目を逸らしたら、今度は私の顔に枕が直撃する。
ロ)「…仕返し」
そう言ってどこか悪戯っぽく笑うローに思わず笑みが零れた。
ロ)「今日は島につく。
必要なもん考えとけ。
洗面所は部屋を出て突き当たり右にある。
食堂はそこから左の奥から3番目の部屋だ。」
そう言うとローは私にクルーの服を投げ渡し、自分は上着を着て部屋を出た。
貴)「…え、まって全然わからなかった…」
ローが出て行った扉に向かってそう言うも返事なんて返ってくるはずもなかった。