第13章 差し引きゼロ
朝。
起きると身動きがとれないことに気づく。
わけがわからず、唯一動く首を動かしていると、
貴)「……ロー?」
目の前にローの体があることに気づき、しばらくしてから抱きしめられていることに気づく。
そうか。
私は昨日やっとローに会えて、ローと……
思い出していると段々恥ずかしくなってくる。
取り敢えず離れようとするも抱きしめられてるこの状態ではどうにも出来ない。
しかもお互い上半身に服を着ていないため肌が直接肌にあたり、
その温かさや筋肉の硬さで顔が段々熱くなるのをこれでもかというほどに実感させられる。
貴)「ちょ、ロー!
起きて…!!!」
私の必死な声に、ローは僅かに眉間に皺をよせ、少し丸まり。
逆にまた抱きしめられる。
今度は寝息が首元にかかる体勢になり、もがいてももがいても腕は離れそうにない。
貴)(は、恥ずかしすぎて死ねる……)
若干涙目になってきたところで、なんとか腕を引き抜いて、ローの頬をぺしぺしと叩くとうっすらと目を開けた。
ロ)「……ん」
貴)「大変離して頂きたいのデスガ!!」
煩い鼓動が聞こえているのではないかと心配していると、1度離れた顔がもう一度近づいてきて、
貴)「………え?」
そのまま唇が重なった。