第11章 終わりと始まり
貴)「そういえばさっき、シャチさんと入れ替わりで服が届いたんだけど…
あれってローの能力?」
ロ)「ああ。
…やっぱり服デカイな。
次の島で調達させるから暫くそれで我慢しろ」
貴)「…ごめん。なんで私、海の真ん中で小船に乗ってたんだろ…」
申し訳ない気持ちなのに、どんなに思い出そうとしても記憶は戻らない。
ローに会いに行こうとして、船に乗って?
だとしても何も持たずに。
なんで私はボロボロなんだろう。
海の真ん中で、何をしていたの?
なんで、倒れていたんだっけ…
記憶のどこかで、多分、ロー…かな、大切な人を。
助けに行った気もする。
戦った、泣いた、戦った、…嬉しかった?
喜んで、何か…楽しいことも、苦しいことも…………
ロ)「もういい、落ち着け」
記憶の断片をどうにか繋げようとしていると頭に手が乗る。
そしてそのまま雑に、でもどこか優しく頭を撫でられる。
ロ)「無事に越したことはねぇ。
…ここが部屋だ、今日はもう寝ろ」
ローが開けてくれた部屋は、窓から外が見えて、魚や珊瑚が綺麗な風景を作っていた。
大きめのベットに、服が掛けられたクローゼット。
大量の本が並んだ本棚に、ペンやノートが置かれた机。
貴)「…ここ、ローの部屋?」
ロ)「ああ。
…知らねぇ野郎共と一緒の部屋がいいなら案内するが。」
少し戸惑った声に気づいたのかぶっきらぼうにそんな事を言われ、慌てて首を振る。
貴)「でも私、物置部屋でも…」
…あれ、前にもこんなこと思ったな。
いつだっけ。誰に、私は……
ロ)「おい」
またぼーっとしている私を一言で呼ぶと腕を引っ張られてベットに押し倒される。
ロ)「暫くだろ。
……………付き合え」
唇が重なる
返事も聞かずに服は脱がされ
肌と肌が触れ合えば
ローの体温が伝わってくる
温かい。
人の体温がこんなにも優しいことを教えてくれたのは
ロー、貴方…………だよ、ね