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名もなき恋物語【ONE PIECE】

第11章 終わりと始まり



〜船内(廊下→浴室)〜

静かな船内の廊下で2人の足音だけが響く。

クレアはローの上着に袖を通し、丈が長いことを確認してどこか嬉しそうに頬を緩める。

シャチはそれを横目でちらりと見て、戸惑った表情をして目を逸らす。

シ)(なんで逃げないんだろう…海の中だから?

散々船長のこと嫌ってたのに、さっき普通に話してたし…)

シャチは悩みながらも先程部屋を出る前に船長に言われた言葉を思い出す。

“必要以上に喋るな”と。

それが何を意味するかはわからないが、先ほどの事もあり、これ以上船長の機嫌を悪くさせるとバラされることだけはわかっていた。

シ)「ええと、ここがお風呂。
タオルとか新しいのないけど…いいかな?」

目的地である風呂場につき、ドアを開いて棚から洗濯済みのタオルを出して手渡す。

貴)「うん、全然大丈夫!
寧ろ貸してくれてありがとう!

ごめんね、急に。」

タオルを受け取り笑顔を見せるクレアにぽかん、と口を開く。

どう頑張っても、性格が一致しなかった。

今まで泣き顔とか、暗い顔しか見れなかった自覚はある。
だけどこんなフレンドリーだとも思わなかったわけで。

そしてなにより、混乱した頭でもはっきりとわかること。

記憶が、おかしい。

急に、とは?

まるで今日初めてここに来たような言い方。

それにやはりいきなり明るくなった理由もわからない。

吹っ切れて取り繕おうとしている風にも見えない。

でも仲間になってくれたわけでもないという船長の言葉を思い出し、またぐるぐると頭の中で思考を巡らせる。

おかしいのは、勿論先程別れた時から。

…その間に、やはり船長に何かされたのだろうか。

シ)「ね、ねえ、クレアちゃん…」

貴)「なに?」

シ)「その、さっき、さ。」

おずおずと口を開く。

はっきりとしない様子に首を傾げるクレアを前に、聞こうか悩むシャチは目を伏せ、ついに口を開けた。


シ)「船長に、何かさ_________










ロ)「やっぱりお前は口が軽いな」

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