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名もなき恋物語【ONE PIECE】

第10章 【番外編】副船長の過去


起き上がる。

服についた血はそのままだったが、

痛みはほとんどなかった。

胸の苦しみもない。

ロ)「悪性腫瘍。

本来完治しない病気だ。

しかもお前のは急性…痛みだして何年くらいたった?」

ペ)「…5年くらい前」

ペンギンの言葉に少し目を剥くと共に笑う。

ロ)「薬剤師ってのは伊達じゃなかったな。

普通急性なら1年、そうじゃなくても長くて3年であの世行き。

お前の作った薬はちゃんと効果を出している」

上半身を起き上がらせたペンギンに横笛を手渡す。

ペ)「…お前、医者だったんだな」

笛を受け取ったペンギンは胸を摩り、ローを見上げる。

ロ)「いや、正しく言うと違う」

首を傾げるペンギンをよそに、にやりと口を歪めると口を開く。

ロ)「海賊。

海賊兼医者だ。」

ペ)「はぁ?!
あんた海賊だったのか?!」

ロ)「まあまだ船と海賊旗しかないが。」

ローは街から買ってきた食料やらをペンギンに見せる。

ロ)「街に行った。

お前の話も聞いた。…家族いないんだろ?」

ペ)「っ、だったらどうした」

ロ)「自由でいいな」

ローの言葉にカッと頭に血を登らせるとローに掴みかかろうとする。

ペ)「黙れ…自由なんかじゃねぇ、お前には俺の________



ロ)「仲間になれ」



ペ)「……は?」

ロ)「家族もいねぇし、

こんな街だってうんざりしてんだろ?

なら全部捨てて俺と海に出ろ。」

ペンギンは唐突な言葉にぽかん、と口を開ける。

しかしローは構わず言葉を続けた。


ロ)「医者に治せねぇ病気を治すのが薬剤師なんだろ?」


そう言って口角を上げるローを見てペンギンはにっと笑った。


ペ)「ああ…そうだな、船長。」


ペンギンの言葉にローは手を差し出すと、その手を掴み、ペンギンは立ち上がる。

少しすると新しい仲間を乗せた船は潮風に吹かれて島を離れた。

こうして2人の海賊の旅は始まり、

やがて世界に名を轟かせる海賊団となったのだ。
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