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名もなき恋物語【ONE PIECE】

第10章 【番外編】副船長の過去


仰向けになってその場に寝転ぶ。

薬草を摘み、調合しても。

一時的な痛みを和らげるだけ。

痛みを止めている裏で、体は確実に病気に犯されていく。

新しい薬を何度も作り、試したが効果が出たものは一つもなかった。

いつかは痛み止めなんかでは止められない程の痛みに襲われ、

心臓が止まる。

逃れられない死を引き伸ばしてまで生き長らえても、特にいい事なんてなかった。

ふらふらと立ち上がり、街を追い出されてから住処にしている洞窟へ向かおうとする。

と。

「ガルルルル…」

獣の呻き声を聞き、振り返ると

自分より遥かにでかい猛獣がこちらを見つめ、狙っていた。


ペ)「はは、いい事ねぇな、本当。」

特に驚くことなく笑うと懐から笛を出そうと手を突っ込む。



ペ)「………あ?」

しかし何も手は掴むことはなく、 どのポケットにも笛の感触はない。

ペ)「っ!!
さっきの時に……!」

急いであの場から去った時に落としたままだったのだと気づき、改めて目の前の猛獣を見る。

敵うわけがない。

寧ろ今までにないほど、怖い。

そう思うとすぐに走り出した。

ペ)「はぁ、は……っ、ぁ、ぐ………ッ!!!」

すると走っている最中に胸が苦しくなり、思わず足を止める。

ペ)(なんでこんな時に…!!

薬……!!)

あまりの痛みにその場に崩れると猛獣がゆっくりと近づいてくるのをこれでもかというほど見せつけられる。

ペ)「ぐ、っ、は…っは……!

だ、れか……たす、け………!!!」

猛獣の腕が振り下ろされる。

その時心で呟いた。




「誰が助けてくれるんだよ」
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