第10章 【番外編】副船長の過去
今から何年前のことか。
ローが1人で旅を続けて何年もたったある日の出来事。
そんな、ある日、ある街。
ローはとある島の人気のない端に降りる。
小船だが海賊旗を掲げているため小さな騒ぎでも起こしたくないので、
面倒を避けて面倒臭い行動を選んだ。
必要品を買い足すために森を抜けて街へ目指していると、どこからか笛の音色が聞こえてきた。
珍しく少し興味を持ったのか笛の音につられて歩くと、開けた所へ出た。
するとそこでは切り株に座ったローと2,3歳程しか変わらない少年が動物に囲まれている。
兎、狐、リス、狸などの小動物はもちろん、鹿や熊まで。
しかし襲われている様子はなく、小首を傾げるとローは少年の元に歩み寄った。
ロ)「おい」
少年はローの呼びかけにびくりと肩を跳ねさせると慌てて振り返り笛を吹く。
しかし音が鳴る様子はなく、ローは少し怪訝な顔をして口を開く。
ロ)「笛の音色で動物を手懐けてるのか?」
?)「座れ」
ロ)「は?」
質問に答えることなくそう告げられるとローの眉間に皺がよる。
なんだこいつ、と詰め寄ってやろうと思ったが、ローの視界が下がる。
気づいたら無意識に座っていたのだ。
ロ)「っ?!」
目を見開き驚くローを少年は口元を歪めて笑い、見下ろす。
?)「さっきの質問だけど…
……こうして手懐けてる。」
ロ)「ちっ…おいガキ、何をした」
睨み、そう言い放つと少年はケラケラと笑う。
?)「俺そんなにガキじゃねぇし。
てかあんたとそんなに変わらないよ?
それに、簡単に教えるわけないだろ」
少年の態度に舌を打つとなんとか動く手を動かし、懐に手を伸ばす。
?)「動くな」
少年の一言で動けなくなると本格的に殺気を放つ。
ペ)「あはは、そんなに睨むなよ怖いな。
俺はペンギン。薬剤師だ。」