第9章 それぞれの旅
イ)「っ!?
何して……!!」
イゾウの言葉で刺された穴が埋まるわけでもなく、一定に動いていた心臓は止まった。
マ)「……なるほどねい」
心臓の中から出て来たのは血でも肉でもなく。
剣によって壊された機械だった。
シ)「…作りもんだとよ。
…それに引き換え向こうに渡した仲間の命は本物。
俺らが条件を破らない限り潰さないと言った。
手を出したらクレアもだが仲間の命も危ねえ…
選ばないことは必然と無反を意味する。
…殴られて当然の臆病者さ、俺は。」
シャンクスの見せた乾いた笑みにエースはもう一度頬を殴るとフン、と鼻をならす。
エ)「なら臆病者は臆病者らしく逃げとけばいい。
…俺はクレアを探しに行く。もし心臓を見つけたら送ってやるよ」
…………………
エースの言葉に、白ひげの一味全員が賛同し、その足でクレアを探す旅に出た。
その船をシャンクス達は見送る。
シ)「…父親として最低だ、俺は」
ル)「頭が1番探しに行きたかったことくらい、ここにいる俺ら皆が知ってる」
べ)「あんたは船長として正しい道を選んだだけさ」
ベンは心臓を取られたままのクルーをちらりと見る。
きっとシャンクスがクレアを探しに行く、と言うと、仲間が1人殺され、この船の上で船長への信頼が少しずつ崩れていただろう。
シ)「…渡した心臓が、俺のもんだったらよかったのにな」