第9章 それぞれの旅
シャンクスの言葉にベンが頭を叩いた。
べ)「滅多なこと言うな。
…それにあんたの心臓を向こうに渡してたとしても俺らが止めて行かせなかったさ」
シ)「…トラファルガーはクレアを殺したり、海軍に売ったりしないはずだ。
自分への言い聞かせもあるが、四皇を二つも敵に回すほど飛び抜けた馬鹿には見えなかった。
クレアを条件に関係あると言ったがブローカーとの直接な関係はないだろう。
…何かを企んではいただろうがな」
苦い顔でそう呟いた後、ぐっと感情をこらえ、普段、いつも通りの一味の船長の表情になり立ち上がる。
シ)「…出航する、船を出せ」
クルーは揃って返事をするとイカリを上げ、帆を張る。
風によって進み出す船のデッキの上で潮風を受けながらどこか遠くを見る。
シ)(俺は約束通り、前に進むだけ…)
シ)「………こんな俺でも、あいつはまだ好きでいてくれるのか?」
自嘲気味に笑うと踵を返す。
好きだったはずの潮風から逃げるように船内に入ると1枚の写真を見て、それを自室の引き出しにしまった。
思考と共に、しまい込んだ。