第9章 それぞれの旅
シ)「正直、一目置いていた。
ルフィの怪我を治したのもトラファルガー…
それに闇のブローカーのことも…」
マ)「まだ本題に入っちゃいねぇよい
クレアはなんで攫われた?
ブローカーに関係してるようには思えねぇ」
シ)「してる」
「「?!」」
シャンクスの言葉に白ひげのクルーが目を剥くがそのまま「らしい」と言葉を付け足す。
シ)「実際の話は聞いてない。
だがトラファルガーは俺達と交わした協力に、何も反さないと言った。
…そういうことだろ」
シャンクスが静かに言い放った言葉に辺りは静かになる。
エ)「……けんなよ」
肉と肉がぶつかり合う音が響いた。
正確的には、一方的に。
肉が、肉に。
頬が、拳に、殴られる音。
エ)「ふざけんなよ…!!
協力がなんだよ、闇のブローカーがどうした!!!
そんな理由で納得したのかあんたは!!
電話切ったよな…?クレアは帰ってくんのか?
返せの一言は言っただろうな?!!」
シ)「返してくれぐらい言った。
…だが条件的に無理だと。
それなら仕方ねぇと、電話を切った」
シャンクスの言葉にエースは頭に血を登らせると、もう一度思い切り殴る。
イ)「エース!!」
イゾウの声など聞こえていないかのように床に尻をつけているシャンクスの胸ぐらを掴む。
エ)「“ルフィを助けてくれたあんた”には感謝してる。
だがな
“クレアを置いていった父親”として!
俺はあんたを認めちゃいねぇ!!!
親の名を担ぎ、独りで村を生きてたクレアの気持ちがわからねぇお前に、父親を名乗る資格なんざねぇ!!!」
鬼気としたエースを落ち着かせるように白ひげが軽く頭を撫でるとシャンクスを解放させる。
白)「この船に乗った限り、お前がどう言おうとクレアは俺の娘だ。
…それに手ェ出せねぇ理由でもあんだろ」
白ひげの言葉にシャンクスは一瞬息を詰まらせ、しばらくすると口を開いた。
シ)「……あの男の能力で、契約書の代わりとしてうちのクルー1人と向こうのクルー1人の心臓を交換した。
どちらかの心臓の持ち主が死んだらもう片方の心臓は潰される。
で、これがその心臓だが…」
シャンクスはそういうと懐から立方体にゼリー状で固められた心臓を取り出し、
戸惑うことなく剣で突き刺した。