第6章 前方注意
そのあと。
…あの、あと。
お父さんと別れ、
お父さん達の船が見えなくなった直後。
…お母さんは倒れた。
すぐにお父さんに鳩を飛ばした。
だけどお父さんは戻ってこなかった。
その次の日の夜、
お母さんは死んだ。
私に、
“お父さんを嫌いにならないで”
と言い残して。
…死んでしまった。
なんて薄情な話だろう?
家族の、妻の臨終なのに
戻ってこなかった。
葬式にさえ、来なかった。
そんな奴を嫌いにならない…?
嗚呼、なんて無茶な話。
ごめんなさい、お母さん。
その最後のお願いは、聞けそうにありません。
汚い醜い心でごめんなさい。
大好きなお母さん。
死んでしまったお母さん。
大嫌いなお父さん。
のうのうと生きてるお父さん。
死んでしまったお母さん。
______私を置いていったお母さん。
のうのうと生きてるお父さん。
______私を置いていったお父さん。
皆皆、大嫌い。
お父さんもお母さんも海賊も、皆嫌い。
能力を手に入れたって、私には自由に生きられないのに。
日の下で生きられないのに。
海賊は、能力を、強さを華に、生きるんだ。
自由気ままに風に吹かれて、
仲間と一緒に旅に出る。
馬鹿騒ぎして、欲しいものはなんでも手に入れて。
嫌い
嫌い
大嫌い。
皆嫌い。
私を1人にする人達。
皆、皆、________________大嫌い。