第15章 けんもほろろ
静かな部屋に扉が開く音が響いた。
それと共に足音が聞こえて、ペンギンさんが入ってきたのがわかる。
ぺ)「…っ、よかった……起きたのか。
つーかシャチ、起きたなら報告しないとドヤされるぞ。」
シ)「あ…そっか、忘れてた」
ペンギンさんの言葉にはっとしてシャチさんは慌てて部屋を出た。
聞き覚えのある会話にまた息が苦しくなった。
ぺ)「クレアちゃんが倒れて2日たったよ」
どこを向いて話しかけているのかもわからない声でペンギンさんがそう呟いた。
2日。
…エースさんを生き返らせるには、時間が経ちすぎてる。
間に合わない、もう、会えない…?
なんで2日も寝てたんだろう。
寝ている暇なんて____
ぺ)「起きたくなかったでしょ」
不意にペンギンさんに声をかけられて僅かに反応した。
ぺ)「俺たちは敵だし。
前みたいに捕らえられてるし。
ていうか…」
ぺ)「こっちには火拳、いないもんね」
貴)「っ…!」
頭がかっと熱くなる。
悔しいとか、腹が立つとか、
そういうのじゃなくて。
図星だった。
起きたくなかった。
夢の中で、ふわふわと。
エースさんや白ひげさん達が居る船で、冒険する夢。
忘れていた記憶とそのまま繋がった。
続きだった。
本当は、そうなるはずだった“未来”の夢。
再び扉が開く音が聞こえて、入ってきた二人。
ロ)「…起きたか」
今、1番見たくない顔だった。