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名もなき恋物語【ONE PIECE】

第13章 差し引きゼロ


〜ロー部屋〜

少し落ち着いた後、ふと窓際の棚に置いてあるフジキキョウを見る。

貴)「花、一つ落ちちゃった…」

ロ)「花?」

私の視線を辿って花を見るローがワンテンポ遅れて「ああ」と言った。

多分既に昨日買ってくれたことを忘れていたんだと思う。

ロ)「そういうもんだろ」

貴)「そうかもしれないけど…丸々一つ落ちたら、なんか不吉」

ロ)「気にしすぎだ」

そう言ってローは呆れるけど、やっぱり気になる。

お店のお姉さんがこの花の花言葉は


『永遠の愛、離れがたい恋』


と言ってた。

聞いた時は恥ずかしいと思ったけど今となっては不安が残るわけで。

貴)「…怪我してない?

痛いところとか、具合悪いとか…」

ロ)「ねぇよ」

質問して、ローの返事を聞いてもまだ唸っている私にローはため息をつくと、

椅子から立ち上がり、棚の上に落ちている花を拾って水に浮かべた。

ロ)「元々根のない花だからこうするだけでもマシだろ」

ローの行動にポカンと口を開ける。

ロ)「…植物は専門外だ。

違っていても文句は言うな」

決まりが悪そうに目を逸らすローを見て頰が緩まるのを感じた。

貴)「…ありがとう」

ロ)「…っ、」

お礼を告げて笑うとローは何も言わずに私の手を引いてベットに倒れこむ。

貴)「え、何?!」

ロ)「寝直す。付き合え。」

有無を言わせない口調でそう言うと胸の中に抱き締められる。

恥ずかしいし、私は眠くないし。
色々文句はあるけど。

『クレアちゃんの隣では安眠出来たってことだ思うけど』


ペンギンさんの言葉を思い出したら、


情けないことに嬉しくて、たまらなくて。


文句も言わずに静かに目を閉じた。
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