第13章 差し引きゼロ
〜甲板〜
シ)「おつかれー」
バラバラになった身体を甲板の床に打ち付けられ、次いで聞こえた声に顔を顰めた。
ぺ)「…お前聞いてただろ」
シ)「もちろん。
まあ船長について行ったら聞こえただけだけど。」
そう言って笑うシャチも俺と同じ様に船長に追い出された様で、
床に尻をついていた。
ぺ)「……敗因はこの顔だと思ってる」
シ)「あー、まあ喧嘩中にその相手の顔だと複雑かもなー」
ぺ)「まあ、でもあれ。
俺は遊んでくれる女の子がいいの。
一途な子はダメ。」
仕様もない言い訳を言い、シャチを見ないで朝日が昇った空を見て先ほどのことを思い出した。
「嫌なら拒め」と言ったのに拒まれなかった。
のに。
その目に“俺”は映っていなかった。
映っていたのは“船長”。
正直、クレアちゃんは薬のせいで
“船長”を、
“トラファルガー・ロー”を好きだと思っていた。
だからすぐに気づかれた時は驚いたし、
むしろ気づかれてもこの姿なら、って思った。