第13章 差し引きゼロ
貴)「どう、いう……」
困惑した声だと思う。
何を言われてるか、上手く頭が回らなくてわからない。
すると肩を掴まれ、まっすぐな瞳で見られる。
灰色の眼が、私を見る。
ぺ)「…嫌なら拒め」
そう言った“ペンギンさん”の顔が近づく。
“ロー”が近づく。
その弱い声に、
その弱い顔に、
私は__________
ロ)「“room”」
突然聞こえた声に驚く間も無く、目の前のペンギンさんの首が飛ぶ。
貴)「………っ、!!!」
その光景に咄嗟に声が出ない。
恐る恐る振り返って入り口に立つローを見た。
貴)「ロー…!!
何して…!!!」
ロ)「それは俺の台詞だ。
…おいペンギン。
人の格好で何してやがる。」
そう言ってローは床に落ちるペンギンさんの首に声をかける。
ぺ)「はぁ…
人の格好、って…これが“俺”ですよ」
貴)「えっ……!?」
首だけのペンギンさんから返事が返ってくると思わず驚いた声が出た。
確かに、切れた首からは血が出ていない。
…これもローの能力?
ロ)「俺は俺の仕事を任せただけだ。
その姿になれとは言っていない。」
ぺ)「“これ”も“船長の仕事”なんでしょ?」
ペンギンさんの最後の一言を聞き、ローはまた刀を振り、腕、足、胴体も、全部。
バラバラに切り裂いて
ロ)「“シャンブルズ”……!!!」
その全てを部屋の外へと追い出した。