• テキストサイズ

名もなき恋物語【ONE PIECE】

第13章 差し引きゼロ


言いたいことを言おうとするけど、今口を開けると涙が出そうで。

涙を堪える為に口をぐっと閉じた。

だって、泣いたらダメだ。

きっともっとウザいって思われる。


何も言わない私にローはまた舌を打って刀を鞘に仕舞う。

ロ)「……もう寝ろ」

短くそう言うと振り返ることなくローは部屋を出た。

足音が遠ざかるのを聞いて私はその場にへたり込む。

手を見ると、血が出てた。

刀を抜かれた時のことを思い出す。

あんな顔をさせるために?

私は何がしたかったんだろう。

ローのどこか弱い声色と、

悲しそうな顔色が頭から離れなくて。

目に溜まった涙を零しながら傷口に爪を立てる。


貴)「…………痛い」

何度もそう呟いて、ただ泣いた。


側には写真と紙がバラバラに混ざり、落ちている。

さっき見れなかった続きが書かれた一枚。



『だから』



さっきローが来る時だって本当は続きが見れた。


ただ、読めなかっただけで。



続きは黒く塗りつぶさいて。




心と一緒に塞がれていた。










_____私にはどちらも読めない。
/ 173ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp