第13章 差し引きゼロ
言いたいことを言おうとするけど、今口を開けると涙が出そうで。
涙を堪える為に口をぐっと閉じた。
だって、泣いたらダメだ。
きっともっとウザいって思われる。
何も言わない私にローはまた舌を打って刀を鞘に仕舞う。
ロ)「……もう寝ろ」
短くそう言うと振り返ることなくローは部屋を出た。
足音が遠ざかるのを聞いて私はその場にへたり込む。
手を見ると、血が出てた。
刀を抜かれた時のことを思い出す。
あんな顔をさせるために?
私は何がしたかったんだろう。
ローのどこか弱い声色と、
悲しそうな顔色が頭から離れなくて。
目に溜まった涙を零しながら傷口に爪を立てる。
貴)「…………痛い」
何度もそう呟いて、ただ泣いた。
側には写真と紙がバラバラに混ざり、落ちている。
さっき見れなかった続きが書かれた一枚。
『だから』
さっきローが来る時だって本当は続きが見れた。
ただ、読めなかっただけで。
続きは黒く塗りつぶさいて。
心と一緒に塞がれていた。
_____私にはどちらも読めない。