第13章 差し引きゼロ
〜廊下〜
ぺ)「…クレアちゃん、聞いてましたね」
会議室から少し歩いた廊下で、呟くようにペンギンが告げた。
ロ)「そうだな」
ぺ)「今回の作戦、クレアちゃんにも手伝って貰うのにちゃんとした理由話さなくていいんですか?」
ロ)「必要ない」
ローが質問にはっきりとそう答えると、ペンギンは小さくため息をつく。
何故理由を教えないか。何となくでも予想がついたペンギンからしては、それは小さなことだった。
ロ)「それより何であいつはサングラス外してたんだ?」
ぺ)「ああ…クレアちゃんに見せて、浮かれてそのまま外してたみたいです。」
ロ)「…そうか」
そのまま口を閉じたローが角を曲がったのを見てペンギンが首を傾げる。
ぺ)「どこへ?」
ロ)「風呂だ」
ぺ)「今クレアちゃん入ってますよ」
ロ)「何か問題あるか?」
平然とした表情でそう返すローを見て、内心で口笛を吹きながら口元を緩める。
ぺ)「それは失礼しました…っと。
…ああ、あと船長。」
呼びかけても足を止めない背中に向かってペンギンは言葉を続けた。
ぺ)「シャチがいくら馬鹿とはいえ、あまりにもわかりやすく態度に出すのやめてあげて下さい。」
しかしペンギンの言葉を聞き入れたのか聞く気などないのか、ローは一度も足を止めることはなくそのまま角を曲がってペンギンの視界から姿を消した。
ぺ)「…本当頑固だな」