第13章 差し引きゼロ
〜廊下〜
シ)「クレアちゃん、綺麗だって」
ぺ)「よかったな」
クレアちゃんと別れ、会議室へ向かう。
さっき船長に報告しろと言われ、長くなることを伝えたら手間を省くため全員で会議を開くことになったわけで。
それをシャチに言いに行ったらあの状況で、今はというとこの状況。
シ)「俺の眼、綺麗だってさ!
羨ましいか?お?」
にやにやと嬉しそうに口元を緩め、外したサングラスで俺の頰をつつく。
絡み方がうざいので、頰のサングラスを払いのけ、頭を叩く。
ぺ)「あー、はいはい。眼“だけ”綺麗だな。」
シ)「おいこらどういう意味だよ。
俺は全てが美しいんですー」
口を尖らせ、ブーイングするシャチを横目で見た。
確かに、綺麗な眼をしている。
(その他の容姿は負けてる気がしないからそこだけは認めてやらなくもない。)
…だけど、実際クレアちゃんだってそうだった。
どうしても眼の“周り”に目がいってしまう。
きっとこの先取れることのない傷跡。
それはオッドアイより、皆の視線を集めた。
それをこいつは勝手に眼の色のせいだと考えてる。
勿論オッドアイに反応する奴も居るだろうが、それでも大抵の人が傷跡に目を向けるだろう。
それを誰も本人に教えないのは、
船長が、
……………………いや。
全員で決めた、この船のルールだった。