第13章 差し引きゼロ
シ)「おかえりなさーい」
ぺ)「おかえりー」
談話室に入るとシャチとペンギンがクルー服の上半分を脱いでる状態で迎える。
下に黒のタンクトップを着ているため目の行き場に困ることはないが、違和感は感じた。
貴)「ただいまー…服どうしたの?」
シ)「いやー、上からペンキ降ってきてさー。
観光するにも周囲の目が痛くて、こんな格好。」
本当は、仕事の“後片付け”で汚れたがそんな素振りを見せることなくシャチが笑いながら言う。
ロ)「ペンギン」
ぺ)「あいあい」
ローは手短にペンギンを呼ぶと談話室を出て、ペンギンもそれに続いて部屋を出た。
仕事の話かと納得しているクレアと2人きりになったシャチはにやにやしながら近づく。
シ)「どうだった?
俺の言う通りだったでしょ」
貴)「……うん」
シャチの言葉に顔を伏せ、恥ずかしそうだがどこか嬉しそうにそう答えるクレアに、シャチは満足そうに頷いた。
島に降りる前。
ローの機嫌が悪いのを見てシャチが笑いながらクレアに言った言葉。
『多分ね________________
船長、嫉妬しないと思われてることに嫉妬してるんだと思う』
『へ?どういうこと?』
『だって、女の子って恋人が自分以外の女の子と外歩いてたら嫌だな〜って思うでしょ?
きっと船長、そういう心配されてないのが悲しいんだと思うよ』
『ふふ、ローに限ってそれはないない』
『なら試してみたら?
船長はどんなに綺麗な女の人より、クレアちゃんを選ぶだろうから』