第13章 差し引きゼロ
少したつと、操縦を交代したペンギンが食堂に入ってくる。
ぺ)「おはようございます。
あれ、クレアちゃん?」
部屋に入ると見覚えのない女性を目にし、確認するように尋ねる。
そしてクレアが頷いたのを見て、船長であるローを一瞥するとクレアとシャチに顔を寄せる。
ぺ)「なあ、なんか船長機嫌悪くないか?」
貴)「ね。
なんか急に機嫌悪くなって…お腹痛いのかな」
シ)「ペンギン」
シャチは身近にいるペンギンを手招きして呼ぶと、
クレアから少し離れたところで耳打ちをする。
恐らく船長の機嫌が悪い理由を教えているのか、しばらくするとペンギンの納得した声が聞こえた。
貴)「え、なになに?」
ぺ)「あー、なーるほどなー」
わざとらしく頷くペンギンにクレアは眉の間に皺を寄せる。
シャチはその表情を見ると笑いながらクレアの耳を借りた。
シ)「多分ね____________」
シャチが頰を緩めながら伝えていると、船内が騒がしくなり、波揺れが止まる。
ぺ)「着いたな。」
シ)「それじゃ、俺たちは仕事組だから。
楽しんで来てね!」
シャチとペンギンは手を振るとクレアと別れる。
ロ)「おい、行くぞ」
すると入れ替わりでローがクレアを呼んだが、少しの間があっても返事が返ってこない。
ロ)「……どうした」
貴)「なんでも…!」
ローは、自分の言葉に慌てて首を横に振るクレアを怪訝そうな顔で見るも、然程気にとめる様子もなく、デッキへ足を進めた。