第5章 クロス元帥の捜索
ラビは何も言わず、泣く私の背中をトントンっとしてくれた。
『ベンも…ラックも…私から十分貰ったって。でも私……ただ守られてたばっかりで……甘えてたばっかりで……何も……。』
「……そんなことないさぁ。あの二人、リオと一緒にいるといつも楽しそうに笑ってた。あの二人にとって、それで十分だったんだ。あの二人は幸せそうに死んでいったんだろ?」
彼らの満足そうな顔が浮かび、私は頷いた。
「なら、リオが悔やむことなんか何も無いさぁ。逆に悩んだらあいつらに失礼だろ」
ラビが私に笑いかけた。私はラビの胸に顔を埋めた。
『そう……だね。』
「そうですよ!」
アレンがラビの後から現れて、私達の間に入る。
「僕は彼らを知りませんが、リオがこうして生きていてくれて嬉しいです。だから、リオを守ってくれた彼らに感謝します。」
そして私を抱きしめた。
「そうよ!」
振り返るとリナリーが泣いていた。
「ベンもラックも、リオの話題になるといつも嬉しそうに話していたわ。そんな彼らが命をかけて守ったリオの口から、私なんかが生きてちゃいけないって言っているのを聞いたら、それこそ怒るに決まってるじゃない!!リオの馬鹿!!イノセンスなんか持っていてもいなくても関係ないわ!リオはリオだもの。私の家族だもの!」
私をギュッと抱きしめるリナリー。
『ごめっ……ごめん。リナリー。………ありがとう。』
私自身生きててもいいのだと、彼らの言葉のおかけで実感できた。私が死んで、悲しむ人がいるのだと。ベン、ラックありがとう。アレン、ラビ、リナリーありがとう。みんな大好きな私の家族。