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『Dグレ』みんながいるから戦場でも笑っていられる

第4章 不可解な夢と自分の力


気がつくと私の周りにはよく分からない残骸が転がっていた。男が怪訝な顔で私を見る。

「お嬢さん…あんた何者?あれはお嬢さんがやったものだろ?最初はイノセンスと思ったが俺は何とも……って聞いてる?」

私の耳には何も入ってこなかった。何が起こっても、この男が生きていては意味がない。ただ涙が溢れた。

「あー、泣くなって。ほら。」

『っ!?』

男が近づいてきて、私の涙を拭った。それはいつもベンがしてくれていた仕草そのものだった。

「俺はティキ・ミック。お嬢さんとは、縁がありそうだ。じゃあな。」

ティキと名乗った男は消え去った。 結局彼は私を殺しはしなかった。殺したり、痛めつけてもらった方が幾分ましであるのに。

「……ゴホッ」

呆然としていると、もう誰もいないと思っていたこの場で咳き込むのが聞こえた。

『………ラック!!』

私は側に駆け寄った。

「………リオか。怪我はねぇか?」

『私は大丈夫。何ともないよ。でも…でも……』

「………ベンは…死んだか」

私は頷き、そして気づいた。私なんかよりラックの方が重傷であることを。腕は片方なく、頭からは血が出ており、このままでは失血死してしまう。私は慌てて止血をしようとしたが、そんな私の手をラックは掴んだ。

「やめとけ。もう無理だ。」

ベンと同じことを言うラック。私は怒鳴った。

『何言ってんの!弱気になるなんてらしくないよ!私……』

「リオ。もういい。」

満足そうに微笑むラックに私は唇を噛んだ。

『ずるい!ラックもベンも!なんでそんな顔するの?私はまだ半人前。二人がいなくなったらどうすればいいの?私は……どうやって生きていけばいいの?』

我ながら馬鹿なことを言ったものだ。でも、何か言わないと、引き止めておかないと、と私は思ったのだ。

「馬鹿。お前はもう…充分大丈夫だ。……上で……見てる。」

『嫌!一人にしないで。私、ラックにもベンにも何も返せていない!』

するとラックは笑った。

「……俺も…ベンも…十分……貰ったさ。お前との……日々……中々………悪くなかった。」

そして、震える手を私の頭に載せるラック。

「生きろリオ」

『…あっ』

そう言うと私の頭の上に乗っていたラックの手は地面に落ちた。

『うあぁぁぁぁ!!!!』

私の家族、ベンとラック。二人をなくした今、私には何も無かった。
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