第1章 画面の向こうの嫁
「ふへぇえええっ‼︎今日のカラ松もいいよぉ‼︎ペロペロしたいぃぃいッ…うわっ、何か今のモブおじさんみたいで気色わるい」
いつもお世話になっているニヨニヨ動画。
何気なく開いたその動画は控えめに言って神動画だった。それを目をかっ開いて見ていた為に動画を見終えて悶えて目を閉じた瞬間に少し目に涙が浮かんだ。目がっ…目がぁああああっ‼︎
(やっぱりニヨニヨ動画は最高だなぁ…神!)
カラ松クラスタになった今、夜な夜なカラ松を眺めることはもう毎日の事で。
画面に映るカラ松を眺める。画面から出てこないかなぁ…出てくるわけ無いよね。おそ松さんの放送が終わってしまった今二次創作に頼るしかない。
「今回はどんなカラ松が見れるかな、さて、再生…再生………んん?」
カチッカチッとマウスを動かすが全く再生する様子がない。というかなんかパソコンの様子が可笑しい。
「…まさかパソコン壊れ…⁉︎……はぁ⁉︎ちょっ、何、怖い怖い怖い」
突然画面が真っ暗になったと思ったらまた画面がつき、だが、それは再生画面では無く何も写っていない真っ白な画面だった。
それを数秒見つめた後真ん中に一文字一文字ゆっくりと文字が浮かび上がってくる。自分はキーボードに少しも触っていない。恐怖で身体が動かない。けれど部屋を明るくしてて良かったと心の片隅で思う。暗くしていたら本気で叫んでいたかもしれない。
「ん…?なになに…?か、ら…まつ…、⁉︎、カラ松!」
”カラ松”と文字が浮かんだ瞬間恐怖なんかどっかに「じゃあの」した。画面をガッと掴みその文字が終わるのを集中して待つ。
そして文字が打ち終わったのを確認してドッドッと高鳴る心臓に深呼吸しながら文章を口に出して読んでみる。
「様、カラ松…一日体験にご招待致します、もう数秒しましたら画面が光りますので…そのまま席に座って、お待ちください……?
なっ…なっなんじゃそりゃあぁああああっ‼︎‼︎
何⁉︎バグ⁉︎ウイルス⁉︎怖ぇええええ………」
つーか、もう画面光だしてんだけど‼︎
何なのこれ、私画面に吸い込まれるの?あ…もしかしてこのパソコンはどっかの秘密組織が作ったもので…爆破するんじゃ……っ
もうその考えが浮かんだ時には遅かった。
「あっ……adieu…」
全身が光に包まれ私はパソコンの中に吸い込まれた。