第18章 大切な人
……あれ?
誰もいない?
バージンロードの両端にある椅子には誰ひとり座っていなかった
間違えた?そんな事ないよな、ここの扉開けろって紫音に言われたんだし
色々なことを考えてたら、誰かに呼ばれた
浩二『そのまま前に進んで、祭壇の前で立ってろ』
『え?』
浩二『いいから、早く』
『ああ…』
俺は言われるがまま歩いて祭壇の前で立ち止まった
キョロキョロしてたらどこにいたのか神父さんが祭壇のところに立っていた
神父『目を瞑ってください』
『あ、はい』
さっきから状況がさっぱりわからない
すると誰かに後ろからヘッドホンを付けらた
だいぶ音量がでかい
が、これは
紫音と俺の思い出の曲…というより俺が勝手にそう思ってるだけかもしれないけど
この曲は彼女が教室で放課後に聴いていた曲
結構マニアックな曲だけど、俺もこの曲を知ってて
落ち込んだ時とか、頑張りたい!って時によく聴いてた
いつもは何となくリズムだけであまり歌詞の意味は考えたことなかったけど、今よく聴けば結婚式にピッタリ…俺たちにピッタリの曲だと思った
もともとは男性のソロ曲なんだけど、この曲はフューチャリングされてるバージョンで、女性も歌っている
この曲は俺達とは立場が逆になってて、女性が男性を支えるって歌ってるけど、本当に俺達のための曲なのか?
紫音と出会った時を思い出して、涙が出そうになった時
突然ヘッドホンが取られた
神父『目を開けてください』
そう言われ俺は目を開けた
さっきまでいなかった席がビッシリと埋まっていた上に
俺の目の前には真っ白なウエディングドレスを着た紫音の姿があった
「ビックリした?」
なんて満面の笑みで言うもんだから
『…っ』
我慢してた涙が溢れ出た
さっきの曲からの…そのドレスとか反則何ですけど?!
後輩『先輩泣くの早すぎっすよー!』
なんて後ろの方から後輩が叫ぶから、会場の全員が笑った
「うそ、そんなに泣くなんて思わなかったw」
『お前が綺麗すぎるからだ、バカ』
それから誓いの言葉を言う時も声が震えてうまく喋られなかった