第20章 第零師団は特殊で面白い/過去話/神威と絡みません
阿伏兎と他の団員の後ろから、第七師団団長の鳳仙が姿を現した。
私以外の第零師団団員はピシッと動きを止めて、即座に席を立つ。
「「お疲れ様です!!」」
「…か」
『すんませんね。先にご飯頂いてますよー』
「おっおい!!」
阿伏兎は軽い口調の私に突っかかるように注意した。
鳳仙団長は私の隣に座り、店員に酒を頼んだ。
それを合図にほかの団員が席に着く。
「…、お前第零師団の団長候補に名が上がっているらしいな」
『あり?もう鳳仙団長の耳に入ったんですか。まぁ有難いことに第二師団と第四師団から推薦受けてます』
「第零師団の役目は分かってるのか?」
『…もちろん分かってますとも。第零師団初の女団長ですよ。ワックワクしますね』
私は団員から交換した魚をぺろりと平らげ、空いたお皿を積み重ねる。
頼まれた酒が届いた鳳仙団長は、小さなお猪口に酒をつぐと、一気に飲み干した。
『……鳳仙団長は納得がいかない顔ですねェ。…"私"が気に入らないのか、それとも、"第零師団(ウチ)"が気に入らないのか。どっちです?』
酒をつぐ手がピタリと止まった。
ご飯を食べながら話を聞いていた他の団員も静まり返る。
『……どっちもか。』
「。俺が何のために第零師団を作ったのか今一度考えてみよ」
『えぇもちろん知ってますとも。第七師団の育成!それと、…戦の特攻隊だ』
「!」
『気づいてないと思ってましたか?老いぼれた第零師団(ウチ)の団長は騙されてましたけどね。』
「ククッそうか…」
『第七師団が戦に出るときは必ず第零師団(ウチ)が先陣切っていたし。団員の負傷数は格段に違う』
鳳仙団長が注いだお猪口を横から奪う。少し匂いを嗅いでから飲み干す。
『こんな度数が高いお酒なんて、たとえ戦終わりでも船に居ない限り飲みませんよ。反逆者なんてこの星には腐るほどいますから。』
お猪口を鳳仙団長の前に置き、また酒をつぐ。
『鳳仙団長の事は、第零師団の私たちが護ってさしあげますよ?
___命をかけて、ね♡』
鳳仙団長の耳元まで顔を近づけニヤリと笑う。
私は椅子にかかっていたマントを羽織り、早々と店を後にした。
第零師団の団員は急いで支度すると私の後に続き店を出た。