第4章 いざ、京都へ
「操さんにとってその人たちは大事な人たちなんですね」
「そうよ!!とても大事な人たち!」
「……だったら死んだらだめですよ」
「え?なにか言った?」
「いえ……なんでもないです」
呟いた言葉はどうやら操さんには聞こえなかったらしい。
私はそれを言い直すことはしなかった。
しばらく歩くと志々雄の館の門前に兵隊が3人ほどいた。
3人か、この人数だったら大丈夫だ。
「道を開けなさい」
「なんだてめえらは!!」
槍を持った3人は私たちに襲い掛かってくる。
操さんは槍を避け、拳を相手の顔面に叩きつける。
仲間を呼ぼうと笛を取り出す男に私は短剣を首につきつけた。
全員を気絶させるわけにはいかない。
「あんたは道案内しなさい。死にたくなければ」
男は笛を口元から放し、ゆっくりと歩き出した。
殺す気は一切ない。
だけどこうでも脅さなければきっと彼は笛を吹く。
そうなったら私たちは最悪死ぬだろう。
館に行く前に私は槍を手にした。
短剣だけでもよかったが、何があるかわからない。
槍を使ったことはあまりないけど、使えないわけじゃない。
館に着き、志々雄真実がいるであろう部屋の前に案内された。
ありがとうとお礼を言い、首の裏を手刀で叩き気絶させた。
襖を少しだけ開けて、三人中の様子を見た。
「飛天御剣流龍翔閃!!」
中では、緋村さんが尖角相手に技を決めていた。
刀の腹で顎を打ち上げると、尖角は白目を向いて倒れた。
「……剣を取れ、志々真実」
緋村さんから感じる剣気に私達は圧倒されていると、襖が勢いよく開いた。
襖に全体重をかけていたせいで、転ぶように中へと入った。
「傍から離れるな」
襖を開けたのは斎藤さん。
そして目の前には包帯だらけの男が座っていた。
あれが志々雄真実。
なんか気味の悪い雰囲気が彼の周りに渦巻いている。
彼は言った。
先ほどの龍翔閃という技は、本来は刃を立てて切り上げる技。
だけど緋村さんは刀の腹で打ち上げた。
「がっかりしたぜ。先輩が人斬りを止めて不殺の流浪人になったとは部下の報告で聞いていた。が、この目で直に見るまではちょいと信じ難かった。
そんなんで俺を倒そうなんて100年早え」