第9章 ハレイロ(神谷)
「その曲…」
「え?」
突然話し掛けられて、驚く。
「今、鼻歌…」
少し気まずそうに話しかける神谷さん。
「え!?私、鼻歌歌ってました?」
少し焦って、顔を伏せる。
「えっと…うん。」
「恥ずかしいんですけど…」
鼻歌…
私は、よく無意識で鼻歌を歌うらしい。
あまりの恥ずかしさに顔を隠す。
両手で両頬を触ると、熱を帯びるのを感じる。
「気付かないのに、その曲なんだ…」
呟くように話し掛けられる。
「?何の曲でした?」
無意識で歌った曲が気になった。
私って、どんな歌を歌うんだろう。
「ん?何だろうね?」
少し意地悪そうな顔を見せる。
もしかして、私からかわれてる?
少しだけ胸がザワザワする。
「何でとぼけるんですか?」
「とぼけてないよ。ただ、嬉しかっただけだから。」
急にはにかむような顔に一瞬ドキッとする。
「?」
この人は何を考えているんだろう。
すごく気になる。