第9章 ハレイロ(神谷)
「神谷くん、今日車で来たの?」
「スタジオから直で来たからね。」
「そうなんだ。じゃあ、飲めないね。」
「まぁ。でもこうして業界じゃない友人と会えるのは嬉しいよ。」
「そう?神谷くん大忙しだもんね。」
「ははは。有難いことだよ。」
「そうだ。他に誰か来るの?」
「うん。私の友人が一人。」
「最近、仕事が忙しいみたいでストレス溜まってると思うんだよね。」
「自分からあまり愚痴をこぼすコじゃないから、心配でね~。」
「綺麗なコだよ。」
「そうなんだ。じゃあ、期待しちゃおうかな(笑)」
飲み始めて、1時間。
スマホが着信を知らせる。
「あ。紗友だ。出ても良い?」
「もしもし。お疲れさま。」
「もう終わり?」
「どれくらいで来れそう?」
「30分ね。大丈夫だよ~」
「うん。着いたら連絡して。じゃあ。」
「あと30分くらいで着くって。」
「そっか。俺やっぱり帰ろうか?」
「え?それは困る!」
「困る?」
「いや…何でも無い…とにかく!帰っちゃダメ!」
あまりの迫力に苦笑いする。
「分かったよ。」