第8章 グノーシス(KENN)
「あの…離して貰えますか?」
「え?」
「『え?』じゃなくて…」
眉を少し上げて、キョトンとするKENNくん。
「ごはん作らないと…。」
「ごはん…オレは紗友と触れていたいな?」
そのひと言にドキッとする。
「クスッ。今、ドキッとしたでしょ?」
「………」
「ごめんごめん。怒らないでよ。」
「触れていたいのは本当だよ?」
「………」
「じゃあさ。一緒に朝ごはん作ろうか?」
「え?本当に?」
「うん。いつも作って貰ってるし。」
「オレも久々に手料理を振る舞いたくなっちゃった。」
「着替えるから、先にキッチンに行っててもらえるかな?アシスタントさん?(笑)」