第4章 想いのツヅリ (福山)
霧が立ちこめる早朝。
「イタタタ…」
「あー。やっちゃったな…。」
先程から何度か立ち上がろうとするものの一向に立ち上がれない。
まさか、この年になって滑って転ぶなんて…
早朝5時。
澄み切った朝の空気の中、マラソンをするのが好き。
春真っ只中の朝は、比較的空も明るい。
風が吹けば、桜の花びらが舞う。
そんな季節。
転んでから15分ほど経過…。
「どうしよう…」
足首はズキズキするし。
早朝の公園のマラソンコースは、人が通らない。
あと1時間もすれば、誰か通るかな…
霧の中に影が現れた。
このチャンスを逃したら、次いつ助けて貰えるか…。
「あのー!!!」
「すみません!!!!」
力を込めて声を発する。