第29章 strawberry(梶)
「あれー?下野さんじゃないですか?」
からかう気満々で、たまたま見かけた先輩?友達?にわざとらしく声を掛けた。
「おっ…おぅ。」
しどろもどろになりそうな気配。
どうしよう。
面白い予感しかしない。
「おっと。お連れ様がいたんですね?」
「失礼しました。」
「梶です。下野さんとは同業者で。」
ニコッと営業スマイルを交えてみる。
「ここいいですか?」
普段ならこんなデリカシーの無いことしないんだけど。
今日は、何だか虫の居所が悪いのかな。
そんなときに下野さんがいるんだもん。
声を掛けずにはいられない。
しかも。
かなりお若い女の子。
さて。
この子に興味は無いけれど、この子を前にしてどんな反応をするのか。
んー。考えただけで口角が上がる。
「なっ…何だよ。その笑顔…絶対良くない事考えてる。」
「何言ってるの?ヒドいな-。」
面白いことしか考えてないんだけど。