第25章 obediently(入野)
肩を掴んで、グッと顔を寄せる。
今までは、こんなに感情を表に出したことが無い紗友。
ちゃんと話をしないと気持ちって伝わらないんだね。
俺が振る訳ないじゃん。
逆に俺の方が不安だったのに。
「紗友?」
「俺はずっと紗友の事しか想ってないんだけど。」
「紗友が俺から離れたいって思ってたって事は…」
「俺は今、片想い中?」
唇を横に引いて、眉を寄せる。
泣き出して肩を震わせ首を横に振る紗友。
「じゃあ、両想い?」
そう問えば今度は首を縦に振る。
「これからは、もっと沢山話そう。」
「今まで俺達はお互いに気を遣いすぎたんだよ。」
手を取り指を絡める。
指先から伝わる紗友の体温。
「これからは、二人ともワガママ言おう。」
そう言えば、目を真っ赤にさせて笑ってくれる。
「では、早速。」
「紗友?今夜泊めてくれない?」
「ホテル取るの忘れちゃって。」
戯けてみれば笑ってくれる。
これからもキミを笑わせてみせるよ。
キミの笑顔が大好きなんだ。
END