第23章 snow(福山)
「好きだよ…。紗友ちゃん。」
これは夢?
頬を撫でる風は痛いほど冷たい。
頬を伝う涙は温かい。
「潤くん…聞き間違いじゃない?」
「『雪』じゃないよね?」
そう問えば、うんうんと頷いてくれる潤くん。
「潤くん…私も好きです。」
「ずっとずっと前から好きでした。」
溢れる涙を指で拭う。
再び乱れる呼吸。
もっと伝えたい事は沢山あるのに。
貴方が好きです。
出会ったときから、ずっと貴方に惹かれてました。
心の中で呟けば、包んでくれる腕。
「良かった…」
耳元で呟く声は少し震えていて、愛おしさが強くなって私は潤くんの背中に手を回し抱き締め返した。