第23章 snow(福山)
息を切らせながら、走る。
普段運動なんてしてないから、息が上がって苦しい。
今、絶対に情けない顔してる。
そんな顔見せたら、潤くんに何て思われるか。
頬を撫でる風は冷たい。
そう言えば、天気予報で初雪かもって言ってたな。
去年を思い出す。
『雪だ。』って言われたのを勘違い。
告白されたのかと思ったオメデタイ頭に苦笑する。
誤魔化す為に雪に、はしゃいでみた。
初雪が嬉しかったのは事実だけど…。
潤くんが私を見てくれる訳ないじゃない。
グイッと引かれた手に現実に引き戻された。
「紗友ちゃん!待って!」
全然息が上がってない潤くんに比べ、私は声にならないほど呼吸が乱れている。
同じ距離走ってるのに何で!?
情けなさが二重になって私にのしかかる。
「はぁ…はぁ…」
向かい合った潤くんは私を見つめ、大きく息を吸い込み、ゆっくり吐き出した。
「あのね。」