第23章 snow(福山)
「また一緒に食べに行こうよ?」
「うん…」
少し寂しそうに笑う紗友ちゃん。
「どうしたの?」
「うぅん。何でも無い!」
「えー。何でも無いって顔してないよ。」
「言ってみなよ。」
「………潤くん…いつも忙しいから、次に会えるのはいつになるかな?って思っただけ。」
「お鍋の季節が終わっちゃうかな~なんて。」
首をかしげて、寂しそうに笑う。
「紗友ちゃん…」
「ごめん!今の無しっ!」
「何か、ワガママ言ってるよね。ごめんごめん。」
そう言って、パタパタと走り出す。
紗友ちゃんが吐いた息が白い気体となって夜空に吸い込まれていく。
寒いな…
空を見上げる。
曇ってるけど、雪は降りそうにない。
今は降るなよ?
去年の二の舞はごめんだからね。
空をキッと睨んで、紗友ちゃんの後を追った。