第23章 snow(福山)
「うー。寒いね?」
両手を擦り合わせながら、ハーッと息を吐きかける。
「去年は、もう雪降ってたよね?」
「うん。そうだね。」
微笑み、ポケットに手を入れながら私の隣を歩く人。
人気の声優さん。
ダジャレが好きで。
人を楽しませることが好きで。
もちろん自分はそれ以上に楽しんじゃう人で。
そして、私の好きな人。
ただの友達。
この関係が続いて何年経ったのかな?
一緒に食事をしたり。
愚痴を聞いて貰ったり。
友人として、こうして隣を歩ける事に感謝しないといけないのに。
欲って、止めどなく大きくなるモノなんだね。
この人の特別になりたいって思うようになったのはいつからだったかな……。