第23章 snow(福山)
「……きだ…。」
隣を歩く潤くん。
聞こえた声に、ふと見上げると私を見つめる瞳。
「?」
「どしたの?」
そう問うと、頬に冷たい何かが触れた。
落ちてきたであろう先を見つめると…
「わぁ!雪!」
手を広げ、空に手を伸ばしながら歩みを進める。
「寒かったもんね。」
「天気予報で降るかもって言ってたけど、やっぱり降ったね。」
この年になっても、やっぱり雪は嬉しかったりする。
積もると困るけど、チラチラ舞う雪はやっぱり『冬』って実感する。
「雪だよ!雪っ!」
くるりと後ろを振り向くと潤くんは、空へ向けて息をフーッと吐く。
そして、私の方に視線を向けて
「うん。雪だね。」
そう言って、困ったように笑ってた。
「雪キライ?」
「うーん。今、少し嫌いになったかも。」
「え?」
「うぅん。何でも無いよ。」
「積もらないといいね。」
首に巻いたマフラーを私の首に巻き付け微笑む。
「寒くない?」
「大丈夫…ありがとう。」
マフラーは、潤くんの温もりを私に伝えてくれた。