第21章 Frohe Weihnachten!(柿原)
悪戦苦闘しながら何とかシャワーを浴び、恋人が待つであろうベッドルームの扉を開ける。
「っ……痛ぇっ…」
ベッドに座るだけで一苦労。
息を止めて、一気に身体の向きを変える。
「っ!」
「はぁ…はぁ…」
額にはうっすら汗が滲む。
「情けねー。」
隣で寝息をたてる紗友の頬を撫でる。
「一人にして、ごめんな?」
「お前を一番に優先してやれなくてごめん。」
「寂しい思いさせちゃって、ごめん。」
「情けないよ…本当に……。」
瞼を閉じて、息を吐く。
「徹也さん…?お帰りなさい。」
その声に視線を上げると眠そうに目を擦る紗友。
「ただいま…」
「起こしちゃったよな?ごめんな。」
「うぅん。早く会いたかったから。」
「一日遅れちゃいましたけど…」
「お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとう。34歳になりました。」
「腰は痛めましたが、まだまだ俺は若いです。」
「これからも、どうぞよろしくお願いします。」
少しおちゃらけて、言ってみる。
笑ってくれる。
それだけで十分だよ。