第3章 sniper (岡本)
開場時間を15分程過ぎたせいか、入場はスムーズに済んだ。
ロビーには、沢山のお花。
「徹也さんって、やっぱり凄いんだなぁ…」
お花を見上げて、独り言を呟く。
「紗友さん…」
耳元で囁かれる声に驚き振り返る。
「のっ!ノブくん!!!」
「シっ!」
口元を抑えられ、咄嗟に周りを見る。
「今、ノブくんって言った?」
「え?信??」
ざわつく女の子達。
キャップを目深にかぶり顔を伏せるノブ君。
「のっ信夫くん!久しぶりー!」
明らかに不自然な発言にノブくんが吹き出す。
「あっはっはっ!もう止めて下さいよ~。」
「ノブくん…そんな大声出したら…」
「おっといけない。」
肩をすくめる姿が可愛い。
「やっぱりノブじゃない?」
「でも、ノブオって…」
「だって、あの声はノブでしょ?」
見かねたスタッフさんが私とノブくんを連行した…