第18章 dish(増田)
帰ってくる前に仕上げて、セッティングも完了させて驚かせちゃおう。
気合いを入れてる時に限って、空回る。
玄関から鍵を開ける音が聞こえて焦った。
「何で今日に限って早いの!?」
とりあえず、シチューは出来た。
あとはお皿とスプーン。
飲み物に…
「あ!パン!!」
パンと乗せるカゴの在処を目で確認して、次にすべき事を考える。
キョロキョロしても、何も始まらない…
あたふたすればするほど何から手を付ければ分からず立ちすくむ。
………どうしよう…。
天井を見つめて、現実逃避…
放り出して逃げ出したいかも。
「ただいま。」
背後から聞こえる声に、近くにあった鍋を手元に引き寄せた。