第17章 kaleidoscope(津田)
自宅の近くのカフェのテラスで、コーヒーを飲む。
「あ。」
読んでいた本から視線を外し顔を上げる。
「この前は、ありがとうございます。」
「ん?」
見たことがあるような…無いような。
慌てたようにバックから本を取り出す。
見覚えのある本。
「あぁ!」
勢いで読んでいた本を閉じてしまった。
「あ…閉じちゃった。」
「ごめんなさい!」
目を合わせると俺達は笑い合った。
「コーヒー一緒にどう?」
細められた瞳。
声を聞かなくても分かるよ。
キミとは、何となく気持ちが通じる気がするんだ。