第17章 kaleidoscope(津田)
「あぁ。」
「確かに気持ち良いな。」
二の腕から手首までを往復すれば、癖になりそうな手触り。
「piqueなんです。」
「ピケ?」
「女のコのルームウエアのお店なんですけど。」
「可愛くって。肌触りも良くて。」
「お気に入りなんです。」
「あのひざ掛けもpiqueなんですよ。」
指差した先のソファーに掛けられた薄いボーダーのひざ掛け。
淡い色のカーテンや雑貨が置いてある紗友の部屋に、よくマッチしている。
「可愛いからお気に入りなんです。」
ニッと笑うと現れるえくぼ。
そのえくぼを親指と中指でふにっと潰せば寄せる眉。
「もぅ。やめてください!」
ふてくされた顔。
ご機嫌斜めなお姫さまのご機嫌を直さないとな。