第14章 short(達央)
腕を引かれて、タツの胸に引き寄せられる。
「全く…世話が掛かる。」
「俺は…な。」
「紗友の意思を尊重したいだけなんだよ。」
「おれの言う通りにする必要は無いし。」
「それに。」
「お前は…どんな風にしても似合うんだから…」
「ただ……切ったのがアイツなのは気に入らねーけど。」
「でも……短いのは…悪くない。」
「俺にこんなこと言わせるなよな!」
『悪くない』=『好き』ってこと。
抱き締められた胸から仰ぎ見る。
「顔…赤い?」
「お前っ!」
クスクス笑うと、腕の力が強くなった。
「痛ーい!」
「生意気な事をしたバツだ。」
腰をくすぐられて、私は力なく床へへたり込む。
「もう!タツの意地悪!!」
ニヤッと笑って、タツは私の前に座り込んで顔を近付ける。
チュッと頬にキスされる。
「!?」
今度は耳に。
「ちょっ!」
次は首筋。
「何!?」
「これからは、キスし放題だな?」
私は首筋に両手を当てて、口をパクパクさせる。
「なっ!」
うん。
短いのも…悪く無いかな。
END