第13章 上富夢(遊佐)
何度目かの収録が終わった。
現場に来る度、遊佐さんに会えるのが嬉しい。
大したことは話せないけど…
でも、それで十分。
………なんてウソ…。
どんどん欲張りになる自分が嫌だ。
「ね?」
「へ?」
ふと遊佐さんに話し掛けられて、声が裏返る。
「そんなにいつも見つめないでくれるかな?」
「!!!」
遊佐さんは、イスに座ったまま両肘を机に付けて顎の下で指を組む。
そして、私を見上げる。
「あのさ。キミ、僕のこと好きだよね?」
ニッコリ笑って、顔を少し傾ける。
………?
今、なんて言った?
あまりにも爽やかな微笑みに耳を疑った。