第13章 上富夢(遊佐)
「遊佐さん?何してるんですか?」
「あー。キミか。」
そう言って、遊佐さんは視線を手元に戻す。
「オモチャですか?」
「………。」
「もしかして、飛ぶんですか?」
「キミさ。本当にお喋りだよね。」
「うっ…すみません。」
叱られたようで、肩を落とす。
「あのさ。そんなあからさまに落ち込まれると困るんだけど。」
「すっすみません!」
「さっき、小野坂さんと小西くんのイベントで貰ったんだよ。」
「?」
「小型のドローン。」
「え!?それ、ドローンですか??」
「あぁ。そう。ほら。」
スクッと立ち上がり、リモコンを手に持ち操作をし始める。
ブーンっと音を立ててドローンが飛び立つ。
「わぁーー!すごーい!!」
思わず手をパチパチと叩いてしまう。
遊佐さんは、ニヤッと笑うとドローンを宙返りさせる。
「わぁ!遊佐さんお上手ですね!!」
その後も得意気にドローンを操作する遊佐さん。
集中しているせいか、口をポカーンと開ける姿が可愛い。
年上の男性に『可愛い』なんて失礼かな。
でも……少年みたいで…可愛いと思わずにはいられない。