第12章 for You…(前野)
「「ごちそうさまでした。」」
「ふぅ。いっぱい食べた~。」
「片付けは、私がするね!」
そう言って、キッチンで洗い物をする。
「洗い物くらい後でやるのに。気にしないで良いよ。」
「色々お世話になったので、これくらいやらせて。」
「は!もしかして、キッチンに入られるのイヤな人?」
「いや。そんな事は無いけど。」
「なら良かった。」
話しながら、パパッと洗い物を済ませる。
思い出したように俺の顔を見る。
「ね?前野くんって、いつも眼鏡だよね?」
「あー。うん。」
「裸眼だとどれくらいまで見えるの?」
「んー。あんまり見えないんだよな。」
「そうなんだ。ね?」
「ん?」
「眼鏡しないと、どこまで見えるの?」
「えっと…」
ズイッと一歩近づく。
「これ何本に見える?」
人差し指を1本立てて俺に近づく。
「えっと…」
「見えない?」
さらに一歩近づく。
「その…」
「視力弱いんだね。」
背伸びをして、俺の顔をのぞき込む。
「見える?」
俺は目を逸らす…
「今、コンタクト入れてるから…」
「!?」